「ガール・イン・ザ・ミラー」は
2018年に公開された映画で、
若干ホラー要素のある映画です。
家庭内で孤立していて、
さらにはいじめも受けている状況の主人公が
鏡の中にいるもう一人の自分と出会い、
やがてその運命を大きく変えていく…
そんな感じの作品ですね。
こちらを実際に見た感想を
お話していきます。
終始暗い雰囲気の独特な作風の映画
映画自体は終始暗い感じで、
あまり明るいシーンやギャグ的な描写はありません。
終始シリアスで暗く、最後まで救いのないタイプですが、
独特な雰囲気も演出されており、
印象には残るタイプの作品ですね。
主演の方を中心に、キャストの演技力も高いです。
流れ的には主人公が親(主に父親)からイヤな扱いを受けていて
学校でもいじめを受けている状況の中、
鏡の中の自分と出会い、最終的にはその鏡の中の自分に、
人生を代わってもらうような形となり、
マリアとなったアイラム(※鏡の中にいたマリアが名乗った名前)が、
マリアのできなかった願いを叶えたり、復讐をしていくうちに
暴走してしまう…そんなタイプのお話となっています。
序盤は少しホラーな感じも
序盤の「鏡の中のマリア」の正体が分かるまでは
若干ホラーの要素もあり、
特に鏡に映っているマリアが、マリア本人と違う動きを
し始める描写は結構怖いですね…。
その後、鏡の中のマリア(アイラム)が喋りかけて来るようになると
ホラーな感じはなくなりますが
前半部分は若干怖いような感じもありました。
(ただ、極度にホラーが苦手でなければ、中盤以降はホラー要素も
あまりないので、そんなに怖くはないと思います)
完璧ではなかったアイラム
印象的なのは、序盤に主人公に語り掛けて来ていたアイラムは
まるで”完璧な存在”かのようなイメージで描かれていたのとは
対照的に、終盤にマリアとなった自由を手に入れたアイラムは
当初のイメージとは真逆で、
感情的になって暴走したり、周囲に異様だと思われるような振る舞いをしたり、
過剰な復讐に走ったりするなどして、
結果的にマリアの人生を壊してしまいます。
前半のイメージとは真逆の結末を迎える点は印象的でした。
結局のところ「鏡の中から見ていたもの」と「実際に自分がそうなった」状況は
まるで別物で、アイラム自身も(恐らく犠牲になった双子?)社会経験のようなものが
ない状態で自由を得てしまったので、
マリア本人よりもさらに過酷な状況に自ら陥らせてしまった…
ということなのだと思います。
難解な部分も
物語自体は割と難解な部分もあり、
ラストの描写や、アイラムの正体など、
見る人への想像に委ねるような部分もあります。
最終的にこのあたりは”曖昧なまま”終わるので、
全てハッキリと明確にしてほしい!という人には
モヤモヤが残る終わり方のような気はしました。
哀れすぎるショーン
主人公の友達・リリーの恋人だったショーンは
作中では数少ない善人で、
リリーのことも気にかけてくれていて、
特に裏の顔のようなものもない様子でした。
マリアになったアイラムにそそのかされる形で、
少し道を踏み外してしまった感じですが、
作中では唯一”何も悪いことをしていない感じなのに”
アイラムに頭を殴られて犠牲になるという、
何とも哀れなキャラクターでした。
作中で気になった部分の考察
作中で個人的に気になった部分が
どういうことなのか、どうなったのかを考えてみたいと思います。
・アイラムの正体は?
これは、マリアの犠牲になった双子だと思われます。
何らかの方法でマリアに干渉したか、
あるいはマリアが作り出した別人格なのか、どちらなのかは不明ですが、
マリアとは違って人生をスタートさせることすらできなかった双子の片割れが
アイラムの正体だと思われます。
・アイラムは何をしたかったの?
アイラムは当初でこそ「マリアを助けたい」というような感じでしたが
実際に表に出てからは、本人の意思を無視した振る舞いを繰り返していることから、
「自由を得たい」+「ついでにマリアを助けたい」ぐらいの認識だったのかもしれません。
最初はマリアを騙して自由になりたいだけなのかとも思いましたが、
一応終盤ではマリアが消えて戸惑うような描写もあるため、
そういうことではなさそうです。
一見すると、浅はかな振る舞いを繰り返して破滅してしまったのは、
”アイラム自身も所詮は社会経験がない存在で、表に出たことで暴走してしまった”と、
いうことかな?とも思います。
(実際、表に出てからはマリア以上に精神年齢が低そうな行動を繰り返しています)
・最後のシーンの意味は?
最後のシーンは、マリアとその双子をイメージするような、
イメージ的な描写だと考えられます。
決して、マリアが二人に増えたとか、そういうことではないはずです。
・マークはどうなったの?
中盤までマリアをいじめていたマーク(リリーの恋人と似た雰囲気にも見えますが別人)は
途中でマリアになったアイラムに足を折られて以降、フェードアウトして
登場しません(笑)
ただ、リリーが命を落とすまでは特に警察沙汰になっていないため、
マーク自体は、存命であるとは思われます(警察はリリーの件があってから登場しているため)
とは言え、足を折られればマークの雰囲気から何か仕返しをして来そうな気もしますが、
足を折られるシーン以降、1回も登場しなかったので謎でした(笑)
※恐らく、アイラムに何か脅されたものと思われます
作中の犠牲者ネタバレ
「ガール・イン・ザ・ミラー」の作中で
犠牲になってしまった登場人物を
作中の時系列順にご紹介していきます。
〇マリアの双子
回想シーンで、何らかの理由により誕生直後に命を落とし、
父親のダンに埋葬された模様。
(事故だったのか、意図的に父親のダンが何かしたのかは不明)
〇リリー
マリアの友人(実際には陰口を叩いているタイプ)
アイラムがマリアになった後、スケートの練習と偽り呼び出されて
事故に見せかけられて命を奪われる
〇ショーン
リリーの恋人だった学生。リリーが命を落とした後に
マリア(アイラム)と親しくなるも、マリアを疑う言動をしたため
ビンで殴られて命を落とす。
〇ダン
院内にやってきたマリアに喉元を切られて命を落とす。
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