「地球防衛軍 ラムダチームの戦い」の戦いは
人気ゲーム「地球防衛軍」シリーズを原作とした
小説で、同作品内の「4」の時系列で起きた戦いを
描く作品です。
ゲーム版の「4」でプレイヤーが操作した主人公ではなく
「ラムダチーム」と呼ばれる小説のオリジナルキャラたちの
戦いを描く作品になっています。
地球防衛軍シリーズの小説が出るのはこれが初めてですね。
(現時点では漫画やアニメ、実写映画などもないので、
ゲームの外で物語が描かれるのはこの作品が「初」でした)
そんな、ラムダチームの戦いを読んだ感想を
お話していきます。
原作を知らなくても大丈夫?
これは、厳しいと思います。
ゲーム原作の小説でも、
原作を知らなくても理解できるような作品は
多数ありますし、私もそういう作品も読んでいますが
この作品は「原作ゲームを理解している前提」のお話であり、
正直、原作ゲームを理解していないと
「意味不明」な部分が非常に多いと思いますし、
侵略者がどんな感じなのかのイメージもなかなか沸かないはずです。
そういった意味で、こちらの作品は
「地球防衛軍シリーズファン向け」の作品だと思います。
私はゲーム版のナンバリング全作品と外伝も一部遊んでいるので
十分に楽しめました!
ゲームでは描かれない「一般隊員」の戦いを描く
ゲームの主人公は、一人でマザーシップを沈めてしまう
超人ですが、小説の主人公(矢風という隊員中心に4名)は、
あくまで「一般のEDF隊員」で、ゲーム内の雑魚敵である
アリにも苦戦することがあるようなレベルの隊員です。
そういった視点で物語が描かれているので、
地球防衛軍シリーズファンの私からしてもみても
新鮮な印象でしたね。
ゲームではスイスイ破壊してしまうシールドベアラーも、
小説ではかなり苦戦した末に破壊していますし、
ヘクトル(ゲーム内の敵)を前に
最後を覚悟したりするなど、超人にはなれなかった
EDF隊員、という新鮮な視点での物語を楽しめます。
小説ならではの側面も
地球防衛軍はムービーがバンバン入るような作品ではないので
小説だからこそ描けるような場面は興味深かったですね。
例えば
「レンジャーは使い捨てにされている」みたいな感じとか
「ウィングダイバーとして活動する人間への負担」
「組織内の厄介事(部隊が違うことによる対立など)」
「メディアがEDFをどのように伝えているか」など、
ゲームではあまり見られなかった一面を見ることができます。
こういう部分は、シリーズのファンであれば
興味深く見れると思いますし、
私も興味深く読むことができました。
絶望感はゲーム版より薄い
独自の解釈を加えた、というようなことが
小説に書かれている通り、
ゲーム版と比べると「一般市民は一応は普通に生活できている」
状態の模様で、絶望感は薄い感じです。
あくまでも一般人からすると
「EDFとフォーリナー(侵略者)の戦い」は
対岸の火事のような描かれ方ですね。
ゲーム版だと、社会生活自体がかなり壊滅しているような
状態にあるので、
この点は若干差異を感じる部分もあるかもしれません。
(4の前半の時系列なので、まだそこまで壊滅してないのかも
しれませんが、それでも、一般人はかなり普通に生活
してるっぽいので、少し違和感はあります)
俺たちの戦いはこれからエンド
最終的に、小説ではマザーシップを撃破するところまでが
描かれますが、
フォーリナーとの戦いは小説内で決着がつくことはなく、
マザーシップを撃破して、”まだまだ戦いは続く”というところで
物語が終わります。
(おそらくゲーム版で主人公が撃破したマザーシップとは別個体と
考えられます(※作中でも複数存在していたため))
ゲーム版では、この後アースイーターと呼ばれるさらに
恐ろしい敵が登場し、
小説でも「その直前」っぽいことを示唆する場面までは
進んでいますが、その後が描かれることはなく、
決着はお預け状態での完結です。
ただ、それなりに綺麗には終わっているので
決着がつかないと納得いかない!という人でなければ
大丈夫だとは思います。
一部、明かされない謎(ウィングダイバーの
意味深な発言の意味などは最後まで特に言及がなかった気がします)
などもありましたが、
基本的にはうまくまとまっています。
隊員の名前がたくさん出てくるので混乱するかも?
短い間に隊員の名前がたくさん出てくるので、
主要隊員と、そこそこ出番のある隊員は覚えられても、
それ以上の隊員はごちゃごちゃになってしまって
ちょっと覚えにくい印象を受けました。
主人公の友人だとか、主要4人と、
良く出てくる脇役ぐらいまではすぐに覚えられる感じですが、
それ以上の隊員となると「あれ?これはどんな人だっけ?」と
なってしまうようなこともありました。
ちなみに、話はあまり重くなく、
主要キャラが命を落とすようなことは作中では
見落としがなければ、なかったはずです。
全体的に読みやすい小説
文字のサイズも大き目で、
それほど長い作品ではないので、
全体的にサックリと読める小説に仕上がっています。
内容は、王道的な感じで
「地球防衛軍を少年漫画風にした感じ」のような
感じもしますが、
クオリティは十分だと思いますし、
ファンなら(小説が苦手でもない限りは)
読んでも損はしないと思います。
余談ですが、主人公・矢風の友人が二人出てくるのですが、
そのうちの一人が、地下におきざりにされたまま
忘れられていたり、
終盤で負傷したっきり出て来なかったりと、
意外と雑な扱いを受けていて笑いました。