百舌落としのレビュー!百舌シリーズの完結作!

ゲーム以外

「百舌落とし」は逢坂剛さんによる小説「百舌シリーズ」の完結作で、
「百舌の叫ぶ夜」「幻の翼」「砕かれた鍵」「よみがえる百舌」「ノスリの巣」
「墓標なき街」に続くシリーズ第7弾にして、完結作となります。
(第1作の前に世界観が繋がっている「裏切りの日日」という作品もあります)

こちらを実際に読んだ感想をお話していきます。

なお、私は裏切りの日日を含めた全シリーズと
ドラマ版MOZUの全作品を既に見た上での「百舌落とし」になります。

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文庫版は上下巻

これは作品自体の内容には関係のないことですが、
今回、文庫版は上下巻での発売となっています。

ただこれまでのシリーズは文庫版は1冊で完結していたと思いますし、
”余程長いのかな?”と思いきや、実際に手にとってみたところ
「1冊あたりはそんなに長くない」ので、
第4作目の「よみがえる百舌」などのページ数を見る限りは
”1冊にまとめられたんじゃ…?”と思ってしまいますね…。

分割されてしまうとその分、値段も高くなりますし、
今までがそうだっただけに1冊で出してほしかったと思う所です。

ただ、これは編集社のほうの都合だと思いますし、
作品自体が悪い、ということではありません。

唯一、上下巻を合わせると「百舌」が完成する表紙は
おしゃれで好きでしたが…(笑)

過去作は必読の完結作

「百舌落とし」は、いきなりこの作品から読んでも
ほとんど内容は分からないでしょうし、
その魅力も理解するのは難しいと思います。

最低でも、第5作の「ノスリの巣」からは読んでおいた方が良いでしょう。
(できれば第1作から読んだ方が良いですが、
一応、繋がりが深いのは第5作目からな印象でした)

なお、ドラマ版MOZUを完結まで見ていても、
ドラマ版とは大きく異なる部分も多いので、
分からない場所も多いと思います。
そのため、原作小説はある程度必読であると感じました。

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緊張感のある展開

今回は「百舌は誰なのか」ということは
早々にある程度明示され、
終盤で明らかになる「もう一人の百舌」的な存在も、
私は「最初からこの人物は怪しい」とすぐに分かってしまったので、
多分、読者の中にはすぐに気づく人も多いと思います。

ですので、犯人捜し的なことは今回はおまけ程度かな?という印象ですね。

ただ、シリーズの第4作目から登場している残間というキャラが
何度も何度も危機を迎えるので、
そこに強い緊張感があり、楽しめました。

第4作目からずっといたキャラなので個人的にも愛着がありましたし
どうなってしまうのか気になりながら読み進めたものです。

ピラニア…

今回は、残間の後輩でもある記者・平庭というキャラが
初登場し、前の残間を思い出させるような振る舞いで
協力してくれます。

この人物の話題が初めて作中で登場する際に、残間が
主人公の一人・大杉に
「あまりにしつこく相手に食い下がることから
誰も平庭と呼ばず、みんなピラニアと呼んでいます」と
説明していたのですが

”誰もピラニアと呼んでいない”笑

当の残間は「平庭」と普通に読んでいましたし、
編集部の上司も「平庭」呼びでしたし、
作中で”ピラニア”と呼んでいる人が誰もおらず、
逆に笑えてしまいました(笑)

誰も平庭と呼んでいないのではなかったのですか(笑)

(これは別にマイナス評価ではなく、笑えただけです)

武器輸出関連の話は…

本作は「百舌の事件」と「武器輸出」の話が絡み、
展開されていきます。

ただ、個人的に”輸出”の方はいらなかった気がしますね…

百舌1本に絞り込んだ方が、分かりやすく魅力的な
物語になったような、そんな気がします。

と、言うのも所々で輸出の方の話が出てくるのですが、
それが本筋を止めてしまっていたり、
最終的にも「百舌」にはそこまで関係なかったり、
最後はあっさりと片付けられてしまったりしているので、
輸出関連の話の方はどことなく中途半端な印象を
受けてしまいました。

まぁ、これは個人の好みだとは思いますが
私はそういう感想を抱きましたね。

常連キャラも多く犠牲に

この先はネタバレにもなりますが、
常連キャラが多く犠牲になります。
最終巻だけはありますね。

百舌シリーズは元々、倉木や津城など、
常連キャラでもあっさり犠牲になるシリーズですが、
今回は主要キャラの大杉、残間が犠牲になってしまったほか、
前から登場していた、まほろや、稲垣、茂田井と言った人物まで
次々と犠牲になっています。

大杉は何となく”最後、誰かがやられそう”と読み始める前から
思っていて、予想通りだったのですが、
愛着のあるキャラが次々と倒れていくのは、なかなか辛い人も
いるかもしれません。

個人的には、助かりそうで助からなかった残間が
残念でしたね。

なお、ピラニアは無事に生き延びています。

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少し寂しい感じもする完結

完結作ですが、最後は割とあっさりで、
少し寂しい感じも覚えました。

いつも通りと言えばいつも通りな終わり方で、
いつもより多めに登場人物が犠牲になったことを
除けば”いつもの百舌シリーズの1作品”と言う感じの
内容でした。

最後は「また百舌が現れるかもしれない」というような
終わり方で、
もしかしたら、またいつか関連作品が出て来るかも
しれないと感じさせるような終わり方でした。
(ただ、大杉も残間もいなくなっちゃいましたし、
なかなか厳しいような気もしますが…
やるとすれば美希、ピラニア、めぐみ、車田あたりの
主要キャラでやることになるでしょうか)

総合すると、気になる部分がなかったわけではありませんが
十分に楽しめましたし、最後まで読んでよかったと思える作品でした。

これから読む人は、ぜひ第1作から(第0作もいい感じですけど)
読んでみてください!
(個人的には第4作の「よみがえる百舌」が一番お気に入りでした)

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