「トランス・フューチャー」は
2019年に公開された映画で、
SFとタイムトラベルの要素を持つ作品です。
主人公の恋人が何者かによって命を奪われ、
その犯人を追うために天才学者の主人公が
タイムトラベルをして、事件を追うという話が展開されます。
タイムトラベルまでは割と長い
タイムトラベルをたくさんしそうな雰囲気のお話ですが
タイムトラベルする場面まで、半分以上の時間を費やすので
割とタイムトラベルするまでは長い印象ですね。
一度タイムトラベルをしてからは癖になったかのように
軽い感じで過去に戻っていく主人公に
少し危うさも感じます(笑)
…実際ヤバかったのですが…。
事件の謎はなかなか驚きの結末に
個人的には”事件の結末”はなかなか驚きの結末でした。
…と、言うのも物語中で起きている出来事は
ほとんどが”主人公のせい”だったためですね。
タイムトラベルする場面まではあまり感じなかったのですが
後にだんだんと「これ、もしかして…?」と思っていたら
やはりその通りの結末でした。
序盤~中盤までにかけての展開のタネが次第に
明かされていく感じは、個人的にはなかなか楽しめましたし
意外性もありました。
最初は主人公の姉と結婚した男か、署長、
署長と話をしていた部下あたりを疑ってました(笑)
…結局、署長以外はほとんど出番もない脇役でしたが…。
作中の事件の解説・考察
作中の事件について解説していきます。
描かれていない部分については考察もしていきます。
・恋人のマリアの命を奪ったのは?
何と、主人公のダニエル自身でした。
別れを告げられてダニエルがマリアを押した際に
マリアが頭を打ち付けてしまい命を落としたというのが真相で、
その場に現れた「男」は、それを止めようと未来から
やってきたダニエル自身でした。
ダニエル本人がそれを覚えておらず、居合わせた未来の自分の方を
犯人だと思ったのは、直前に殴られたことや、ショックで
一部、記憶の欠落が起きたものと考えられます。
・マリアの浮気相手は?
恋人のマリアは実は浮気していたことが終盤で分かりますが
その相手は未来から来た自分(ダニエル)でした笑
未来のダニエルは車の事故の際に顔が変わっているため、
マリアも気づかず、別人として浮気状態にあり、
また、序盤でダニエルがマリアに声を掛ける前に、
マリアと喋っていた男も、未来から来たダニエルでした。
大体全てダニエルが絡んでいます(笑)
・車で追突されたのは?
過去に戻る前、事件を調べるダニエルが車に追突されて
しばらく昏睡状態に陥ります。
これは、事件関係者がダニエルを始末しようとしたわけではなく、
”未来から過去に戻ってきたダニエル”が、突然トレーラーの前に
姿を現したことで、トレーラーが急ハンドルを切り、
ダニエルの車に激突したというのが真相でした。
要するに…自分のせい(笑)ですね…。
・未解決事件の犯人は?
序盤で署長が言っていた「未解決事件」の犯人は
未来から過去に戻ったダニエル自身によるもので、
”被害者を助けよう”として、その場に向かったものの
自分の子の命を奪おうとしていたり、汚職警官だったり、
悪事を働いていたりする人物が被害者であることを知り、
ダニエルがその命を奪っていました。
全部ダニエルのせい
作中で起きた出来事は、大体全部ダニエルのせいで、
恋人が命を落としたのも、恋人の浮気も、
追突されたのも、父親が命を奪われたのも、
署長の兄が命を奪われたのも、犬が急に出現したのも、
作中の色々な出来事がほぼ全部、「未来の自分」のせいでした。
大体、ダニエル一人が全ての事態を起こしていた感じですね…。
元々、ループが起きる前は
未来⇒過去に戻ったダニエルが命を奪った人々は
その時点では命を落とさなかったはずなので
”本来の歴史”は違っていたのだとは思いますが、
作中では既にダニエルによるループが生まれてしまっていて、
同じことを繰り返している(ダニエルは)ようなので、
歴史を変えることは難しそうです。
歴史を変えることはできないの?
ダニエルは作中で”未来のダニエル”から事件の真相を聞いているので、
次こそ未来を変えられる…気もしますが
どうやらそうはならずに、ずっとループしている模様です。
恐らくは、ダニエルがいなくなった世界(事故2年後の時点)の先には
ダニエルは姿を消し、ダニエルが起こしたことも変わらないまま
時が流れているのだと考えられます。
作中の最後でも、主人公のダニエルが未来側になった際に
「今度はもっと急げ」じゃなくて、別の言葉を伝えてあげればいいのに、
何故か自分が、倒れている側だった時と同じ言葉だけを語って逃げてしまうので、
”これではだめだな…”と言う感じです(笑)
(恐らく、またループするだけでしょう)
ダニエルに”未来を良い方向に変えよう”とする努力が感じられず、
過去に起きたことをなぞっているだけになってしまっているので、
この先も未来が変わることは無さそうに見えました。
ヒロインも問題ありそう…
序盤で、いきなり初対面のダニエルとすぐに意気投合して
一瞬で恋人になった感じの描写に
「そんなことある???」と、疑問に思いましたが
終盤まで見ると、ヒロインのマリアの方も
浮気しやすいタイプのような感じに見えてきましたし、
そう考えると、序盤にダニエルとすぐに意気投合したのも
なんとなくわかるような気もします。
作中の犠牲者ネタバレ
「トランス・フューチャー」の作中で犠牲になってしまった
登場人物をご紹介していきます。
作中の中の時代順に記載しています。
〇エステル・マラファイア
事件の被害者の一人。
実際には過去に戻ったダニエル自身が
エステルが子供の命を奪おうとしているのを見て仕留めていた。
〇署長の兄
事件の被害者の一人。エステルと同じように、
過去に戻ったダニエルが汚職警官であったことを知り、
命を奪っていた。
〇ダニエルの父親
事件の被害者の一人。問題を繰り返している自分で、
やはり過去に戻ったダニエルがその命を奪っていた。
〇ダニエル
何度も過去に戻ることを繰り返し、年老いた状態で
若いダニエルと再会。その際に銃撃を受け、
最後は署長によって撃たれて命を落とした。
〇マリア・ルイーザ
ダニエルの恋人。ダニエルに別れ話を持ち掛けた際に
ダニエルに押されて頭を打ち付けてしまい、命を落とす。
〇ジダン(犬)
ダニエルが見つけた犬。車で移動中に未来からやってきた自分が
原因で起きた事故に巻き込まれて命を落とす。
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