「アンダー・ザ・ウォーター」は、2017年公開の映画で、
水没した世界を舞台に、
過去に戻るなどの要素も織り交ぜられた
SF系のスリラー映画です。
一見すると、水没した世界の方がメインに見える
感じになっていますが、
実際に見て見ると「時間移動」と「時間移動に伴う分裂」の方が
メインに据えられた作品となっています。
そんな「アンダー・ザ・ウォーター」を実際に見た感想を
お話していきます。
水没した世界自体がメインではない
本作は、水没状態にあり、
真水が貴重品となっている世界が舞台となっていますが、
そこ自体はメインではなく、
メインとなるのは”時間移動”の方になります。
作中では過去に移動する技術(作中ではQEDAと呼ばれる)が存在しており
(ただし、その副次的効果として本人が分裂し、
一人が元の時代に、もう一人が過去に行く感じになる)、
そちらが作品の”軸”になります。
主人公の分身が、水没している状態の世界を救う鍵となる
「海水を真水に変える研究」をしている科学者と過去で接触、
その研究成果を未来へと持ち帰ることを任務に過去に向かいますが
その分身から連絡が途絶え、やがて主人公の本体も過去の世界に向かう…
という話が描かれます。
映画(国内版だけかもしれませんが)の表紙の絵などを見ると
”水没した世界を中心に描くディザスター映画”にも見えますが
ディザスター映画的な面はほとんどないので、この点は注意ですね。
独特な世界観はなかなか面白い
世界観は非常に独特で、
メインではないものの、水没した世界の描写
(ただ、割と深刻そうではないように見える場面も)も
それなりに興味深いですし、
タイムスリップなどの仕組みも、なかなか興味深い設定でした。
特に、タイムスリップすると分裂する、というところは
本作独自の設定で、他の作品では見ない設定なので
印象に残りました。
”謎”な部分も多いですが世界観自体は個人的には
好きな作品でした。
終始暗い雰囲気はある
物語の雰囲気は終始、どことなく暗い感じが
漂っており、最後の結末も含めて
全体的に暗い感じの作品です。
薄暗い雰囲気のシーンや雨のシーンなどが多く、
また、物語の展開上も派手にアクションを
するような感じではないために、
終始暗めの印象を受けます。
↑でも書いた通り、結末も暗い感じなので、
明るい気持ちになるような作品ではなく、
どんどん深みに沈んでいくような、
そんな不思議な空気のある作品と
なっています。
最後の結末は?結末を考察!
最終的に、主人公の分身体が現代に戻らないことで
過去が変わって行き、その兆候が現代でも捉えられるようになります。
主人公は、分身に会うために自分も過去に飛び、
分身と合流、当初の目的を果たすように説得し、
対象の科学者(主人公の祖先)の研究データを入手、
さらには”元の歴史通り”にことを進めようとします。
(本来の歴史では、主人公の祖先の科学者は飛行機事故により命を落としていて、
それが変わりそうになってしまうものの、彼女が飛行機に元の歴史通りに
搭乗するように仕向けて、搭乗させます)
ただ、主人公の分身が彼女と接触していたことによって
既に歴史に変化が生じていたのか、
科学者の娘(この子も主人公の祖先にあたる人物)が、
本来は母親と一緒に墜落する飛行機に乗らなかったはずが、
一緒に飛行機に乗ってしまいます。
(本来の歴史では留守番していたはずが、
歴史が変わり、直前でもう1枚チケットが取れたという理由で
事故を起こす飛行機に乗ってしまいます)
その結果、主人公の祖先である娘も飛行機事故で命を起こし、
主人公は”存在しなかったこと”になってしまいます。
結果、現世で主人公の娘との絡みで身体に書いた犬の絵も消え、
現世に戻るためのゲートを妻が開く話になっていたものの、
それも起きず(現代で主人公の存在が消えたためと思われます)
絶望して海に浮かびながらエンド…と言う結末でした。
ただ、先祖が命を落としたはずなのに過去にいる主人公は
消えていないことから、”時間移動している状態”では
本人自体は影響を受けず、現世において主人公の存在や
主人公が関わった色々な出来事がなかったことになっている…
そういう感じだと思われます。
主人公自体は”幽霊”のような状態で、
この先も過去の世界で生きる感じになるのではないでしょうか。
(消えるなら、犬の絵が消えた時点で主人公も一緒に消えているはずだと
思いますし)
また、主人公の祖先が命を落としたことによって
作中では描かれていませんが現世では
複数の箇所・事柄に影響が出ていると考えられます。
作中の犠牲者ネタバレ
「アンダー・ザ・ウォーター」の作中で
犠牲になってしまった登場人物をご紹介していきます。
作中で描かれた順番に並んでいます。
〇ビンウェン伍長(分身)
かつて時間移動を行い分裂した人物。
大尉が、分身体が命を落とすとどうなるのかを
確認するために銃撃し、命を落とす。
(なお、分身が命を落としても本体に影響がないことが
この際に判明している)
〇モナ
大尉の先祖にあたる人物で、世界を救うことになる
研究を行っていた。
過去に飛行機事故で亡くなっており、時間移動で過去に
戻った世界でも、同じ結末を辿っている。
〇ルイース
モナの娘。本来の歴史ではモナの乗る飛行機には乗らず
無事だったものの、主人公が過去の世界でモナに接触したことにより、
直前で、飛行機のチケットが取れてしまい、モナと同じ飛行機に搭乗、
墜落事故により命を落とした。
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