PS5の3回目の値上げの感想。元販売店店長が考える今後への影響。

ゲーム

プレイステーション5の
3度目の値上げ。
2024年9月に実施されるこの値上げでは
これまでの値上げよりもさらに大きな値上げ幅となり、
ゲーム機としては過去最大クラスの7万円から8万円という、
前代未聞の状態となってしまいました。

マイナーなゲーム機や、高額モデルであれば
そういう価格帯のものもありましたが、
通常モデルで7万円~というのは
少なくともプレイステーションでは初めてですし、
任天堂ハードやXBOX、セガのハード(特殊なモデルは除く)でも
なかった前代未聞の出来事です。

この3度目の値上げの個人的な感想や、今後の予測をお話します。

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既に「高額」が「さらに高額」に。非常に厳しい

円安や物価高などの影響はあれど、
PS5は”元々ゲーム機としては相当高い価格”で、
価格面で普及の足かせになっていると思われる状態は
既に見受けられる状態でした。

そもそも、PS5は最初の価格の時点で
”ゲーム機としては高い部類”の価格設定であり、
そこから、複数回値上げしていることで、
今回の3度目の値上げ以前から
”ゲーム機としては異様に高い価格設定”であったことは事実です。

そこに、3度目の値上げ、
しかも過去最大の値上げ幅と来たので、
これは国内のPS5にとっては”非常に厳しい”と言わざるを得ない状態です。

これを擁護するのは少し無理があり、
現実的に、国内市場を客観的に見れば”この判断は悪手”と
言わざるを得ないです。

一般層や様子見勢を切り捨ててしまった

メーカーがどう意図しているかはともかく、
7万~8万となると、一般層はさすがに
ゲーム機にそこまでお金をかけないので
(そもそも4万、5万でも高いと言われます)
PS5から一般層の多くは遠ざかっていきます。

また、”今、PS5を持ってないやつは買わないから問題ない”というような意見が
今回の値上げの際にも見受けられましたが
その答えはNoで、ゲーム機というものは次世代機が出るか
極度に失敗しない限り、発売から4年、5年経過しても売れ続けるものです。

発売から7年以上経過したswitchも売れ続けていますし、
PS4やPS3だって次世代機が出てしばらくするまで
売れ続けていました。

”今PS5を持ってないやつは買わない”は間違いであり、
この先もPS5ユーザーになるであろう”様子見勢”は確実にいたわけです。

しかし、様子見勢は当然のことながら
”購入意欲は初期に購入したユーザーよりは薄い”わけで
今回のような値上げがあればそのユーザーたちはPS5を買うことなく
離れてしまいます。

発売から数年経過したハードはこの”様子見勢”をどう取り込むかが
より重要になってくるのですが
ここを値上げにより切ってしまったため、PS5の今後は非常に苦しくなると思われます。

一般層も、様子見勢も購入意欲自体はコアユーザーよりも薄いので
こういう”3度目の値上げ”、しかも過去最大の値上げ幅というマイナスがあれば
購入から遠ざかってしまいます。

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事情は分かる。しかし展開には問題あり

円安・物価高。そういう止むを得ない事情は当然
理解はできます。

しかし、PS5の場合、それをカバーする施策がなく、
”円安だから、物価高だから仕方ないでしょ?”と開き直って
しまっているかのような状態になってしまっており、
”値上げしたことに対するカバー”が、決定的に不足しています。

例えば、本体を値上げするなら
一般層が遠ざかることは目に見えているわけですから
一般層向けに機能を削った廉価モデルの発売などはした方が良いですし、
コントローラーに関しても、パーツメーカー製のような
”機能を削った安いコントローラー”を、メーカー純正で発売するべきです。

そういう”対策”が疎かになっていて、
世界情勢のために仕方ないんだ!ではユーザーが離れていくだけです。

XBOXの場合、XBOXSeries Sがありますし、
Switchは元々低価格な上に「Lite」があるほか、
「有機ELモデル」発売後も当初の価格で買える通常モデルも展開しています。

しかし、PS5にはそういった”価格への配慮”の動き、そういう努力が
今のところ見られません。
ただ、値上げを繰り返すだけではユーザーは離れてしまいます。
情勢的に仕方のないことであっても、ユーザーは”円”で買い物をするわけですし
”高いものは高い”で離れてしまうので、
それをつなぎとめる努力が必要です。

確かに、XBOXSeries Sのようなモデルは”後から”出すのは
これまで発売されたソフトへの対応的には厳しいところですが
”動作に影響する部分以外”を削ることは十分に可能であり、
例えば前述のコントローラーもそうですが
廉価の最低限の機能を備えたコントローラーを4000円前後ぐらいで出せば
それだけで本体価格も1万円近く抑えることができるわけです。

そして、PS4への互換性やら、4K対応の部分やら
ゲームの動作に直接関係ない部分を削ることは十分に可能です。

そういう”廉価モデル”を出す努力もせずに値上げでは
流石にユーザーは離れてしまう…
特に、一般層はよりシビアに離れていくものなので、
いつまでも”最高のゲーム体験”などと言っていると
国内での今後は非常に厳しいものになると思います。

コア層しか相手にしないのであれば良いのですが、
それを望んでいるわけではないのであれば、
やはり、”7万~8万では動かない層”へにアピールは重要です。

今のままだと、将来的なプレステは不安

このまま高価格路線を続けると、
将来的な国内でのプレステの展開には悪影響が出て来ると考えられます。

その大きな点の2つが、

・将来のプレステユーザーが育たない
・国内メーカーのソフトが離れていく

ということです。

前者は、PS5のような高額路線が続くと当然、一般層のユーザーは
離れていくため、”子供のユーザー”は激減することになります。
ただ、皆さんの中にも”小さい頃にプレステで遊んだよ”という人は
いると思いますし、その思い出があるからこそ、今もプレステで遊んでいる!
という人も多いと思います。

私も小さい頃に任天堂ハードもそうですし、プレステでも遊んだからこそ、
今があります。

が、PS5のような高額ハードだと”子供のうちにプレステを遊ぶ”人は
確実に減ります。
しかも今はPSPのようなハードもないために、
”プレステと縁がない子供”がこのままだと爆増することになり、
10年、20年としたころには
”小さい頃にプレステに触れた大人”は激減、
そうなると、”プレステとは縁のない大人”が増え、
もちろん、大人になってから初めてプレステを手にする人はいても、
売上的に大きなダメージになると予想されます。

”小さい頃の思い出”は、ゲームの購入意欲に大きく結びつくので、
PS5、そしてこの先のPS6までもが高額路線だと
将来的に大きな影響が出る可能性があります。

また、後者の国内メーカーのソフトの方は
PS5のように高額になってしまうと、
国内では確実に普及が鈍ります。
7万、8万のレベルとなると
それこそ”欲しいゲームが出ても本体ごと買うほどではない”になる人も
増えるでしょう。

そうなると、PS5独占タイトルなどには大きな打撃となります。
国内ではXBOXの普及は一般層にはほとんど浸透しておらず
ゲーミングPCも一般層にはあまり普及していませんので、
PS5・XBOXSeries・PCで出るようなソフトの
一般層に一番近い存在が「PS5」でした。

が、これも離れてしまうとなると
一般層の受け皿が存在しないハードだけに出すことになり
売上的に大きな打撃となります。

モンハンワイルズもそうです。
PS5の3度目の値上げにより、売上に甚大な影響が出るでしょう。

この状況が続けば、
海外メーカーは(海外ではPS5の普及が進んでいるため)ともかく、
国内メーカーの国内中心のタイトルなどは、
PSから離れる、あるいはPS4版も同時発売したり、マルチ展開にする可能性が
高まります。

PS4⇒PS5への移行はさらに遅れ、
PS5独占タイトルも減少する可能性があるのは否めません。

PS6・PS7と高額路線が続けば
やがてPS向けのソフトはさらに減る可能性があるのです。

感想

PS5の3度目の値上げは”超”がつくほど悪手です。
しかも過去最大の値上げ幅でコントローラーなどのパーツ類まで
軒並み値上げとなると、
一般層からの印象は最悪でしょう。

流石に、”売る”ということを考えた上で、
元店長の立場からしても、まるで擁護できない悪手としか
言いようがなく、
PS5を今後、日本国内で本気で展開していく気がないようにも
見えてしまう値上げのように感じました。

今後、廉価モデルなどの投入があれば
まだ努力も見えますが
このまま”円安だから仕方ない”みたいな展開を続ける場合は、
国内では残念ながら、プレステの未来は暗いと思います。

擁護する声もあるにはありますが、
それはコア層目線でしかなく、
現実的に、”この価格でやっていけるわけがない”という状態です。

Switch後継機も同じぐらいする場合でも、
現行switchがそのまま強いだけで、PS5が勢いづくことは(この価格では)
ないと思いますし、
後継機が高額で、現行switchを無理やり切った場合は
ゲーム業界全体が衰退するだけで、PS5が売れるようになることはないと
考えられますので、
この価格に関しては、真剣に見つめ直す(あるいは廉価モデルなどの対策を打つ)
必要があると強く感じます。

正直なところ、3度目の値上げによって、
今の状況は(国内では)”相当厳しい”ですから、
(もうこれで「国内では終わったな」というレベルにまずい状態だと思います)
国内市場でまだやる気があるのであれば
今後、どのような展開をしていくのか注目したいところです。

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