映画「ラスト・デイズ」は
2013年に公開されたスペイン映画です。
ある頃を境に、人類が”外に出ると発作を起こして命を落とす”
ようになってしまった世界を舞台に、
物語が描かれていく作品です。
なお、2005年制作のアメリカ映画「ラストデイズ」とは
全く関係ありませんので、注意して下さい。
(続編や関連作品でもありません。完全に別の映画です)
こちら(2013年のラスト・デイズ)を実際に見た感想を
お話していきます。
世界設定はとても面白い
映画内では「外に出ると命を落とす」謎の現象が
あっという間に広がり、主人公と、その恋人も
離れ離れになっている状態です。
序盤で描かれる「その症状が広がっていく段階」も
なかなか不気味で興味深いですし、
外に出ると命を落とすという設定は
あまり見ない設定なので、個人的にも興味深く
見ることができました。
最初は少し混乱する部分も
物語の前半から中盤は「現在」と「過去(外に出られなくなる前)」が
交互に描かれており、
”過去の出来事”とか、そういう表示がないまま
画面が切り替わるので、最初は少し戸惑いました。
見ているうちに「あぁ、これは過去と現在を交互に描いてるんだな」と
分かりますが、最初は少しとっつきにくい印象はありましたね。
ただ、過去の物語も「こうなるまで」を描いていて
なかなか興味深い展開ではありました。
もう少し分かりやすく描いていると、導入部分も入りやすさも
プラスされたかもしれません。
異様な状態になった世界の描写
人間が「外」に出られなくなったあとの世界は
異様な雰囲気で、このあたりも上手く描かれているように
感じました。
終盤のスーパーを拠点にしている生存者たちだったり、
序盤の駅を中心に活動している生存者たちだったり、
それぞれの生活感も伝わって来て
世界観の描写は非常に上手に感じました。
上司の男とのやり取りが〇
本作では主人公とヒロイン……ではなく、
主人公(男)をクビにしようとした上司の男と
一緒に行動していきます。
おっさんとおっさんのコンビですね(笑)
最初でこそ、二人は険悪な感じで
仕方なくタッグを組んでいましたが
これがだんだんと和解していき、最後には
かけがえのない相棒になっていく様は、
なかなか面白い描写ですし、
この映画の見どころの一つですね。
映画の強烈な世界観と共に
強烈に印象に残ったキャラクターでした。
原因は「謎」のまま
「外に出ることができない症状」が
蔓延しますが、その原因は”最後まで謎”で、
作中でも登場人物が色々な説を語ってはいるものの、
それが何なのかは最後まで明かされることはありませんでした。
このあたりは、モヤモヤする人もいるかもしれませんね。
私自身も、映画を見ていて
途中から、”残り時間的に、こうなった理由は語られ無さそう…”と
思っていたら本当にその通りで終わってしまったので、
理由ぐらいは知りたかったような気もします(笑)
ただ…物語自体はちゃんと綺麗にまとまっているので、
これはこれでアリなのかもしれません。
「外に出られなくなった原因」は?徹底考察
作中で蔓延していた”外に出られない症状”の
概要は下記の通りです。
・外に出るとパニック発作のようなものが起きて短時間で命を落とす。
・屋内にいれば、天井が吹き抜けだったり、外気が入って来ていても大丈夫
・全員が同時になったわけではなく、時間差で発症した
・車での移動はNG(車でも外に出ると命を落とす)
・一部の部族は、この症状になっていないという話がある(実際には登場しないため真相は不明)
・この状態になって以降に生まれた子供は普通に外に出られる
・治療法は今のところない
こんな感じになっていました。
作中では色々言われていますが”病気説”としては、
子供たちは平気で、感染している様子もなく、
また、序盤でガスマスクのようなものをしている一般人が映っていましたが
結局ほぼ全員がそうなったことから、普通の感染症ではないようにも思えます。
ただ、一方で時間差で発症していたりすることから
宇宙人説などもなかなか難しく、
完全に”原因は不明”の状態です。
また、”車はアウト”なのに、扉が開いている側にいても
屋内に立っていれば大丈夫な理由も謎です。
総合的に作中の描写を全て考えると
”ガスマスクなどでも無意味なぐらいに非常に感染力の強い何か”が流行し、
ほとんどの人類が発症、
子供は”感染した親”から生まれると生まれつき抵抗を持っている状態で
生まれているために、子供たちは大丈夫…
と、いうことかな…?と、個人的には考えています。
とは言え、いずれにしても答えは不明で、
作中で”原因不明”ということは(恐らく流行り出したころに解剖なども
していそうですし)ウイルスも体内から検知されなかったということに
なるかと思います。
そうなると、宇宙がらみの何かなのかもしれません。
作中の犠牲者ネタバレ
「ラスト・デイズ」の作中で犠牲になってしまった
登場人物を時系列順にご紹介していきます。
〇グレッグ・ラファティ
ニュースで報じられていた少年。
外に出ることができない状況に陥り、自ら命を絶つ。
〇ロビラ
マルクの同僚。比較的早く「外に出られない」状態になっており、
周囲の理解を得られないまま外に連れ出されて命を落とす。
〇ハビエル
GPSを奪った男の兄。争いになった際にエンリケに
銃で撃たれて命を落とす。
〇アンドレア
マルクとスーパーで再会直後、崩落により分断され、
外に出るかどうか躊躇している間に、落下してきた瓦礫の下敷きになってしまう。
〇エンリケ
終盤のスーパーの戦いの際にマルクを助けるため、姿を現すも
その際に負傷、その後も怪我を隠して同行していたものの、
力尽きて、マルクに看取られながら息絶える。
⇒映画レビュー一覧へ戻る
「ラスト・デイズ」以外の映画のレビューは↑からご覧ください。