「インターステラー」は2014年に公開された
SF映画で、
異常気象などにより、やがて地球は住むことができなくなるとして、
人類の新たな居住地を探すべく、宇宙への探査に向かう姿が
描かれる作品です。
宇宙の未知の雰囲気がかなり上手く作られており、
宇宙を舞台とした映画の中でもクオリティの高い作品ですね。
こちらを実際に見た感想をお話していきます。
宇宙の脅威をイヤと言うほど味わえる作品
物語前半は、荒廃した地球での日常生活が描かれ、
若干導入部分は盛り上がりに欠けるような部分も
ありますが、宇宙に飛び出してから(そんなに時間はかかりません)は、
非常にクオリティの高い映画で、
宇宙の未知なる雰囲気や、恐怖など、そういったものを
存分に楽しむことができる作品です。
宇宙独特の雰囲気や、人間にとって過酷な空間を
イヤと言うほど体感できる作品で、
宇宙系の映画の中ではとても完成度の高い作品に感じます。
「時間」の要素が印象強い
宇宙では重力の都合などによって、時間の流れが地球上とは
異なってしまう…という話はよく聞く話ですが、
本作ではその”時間”の部分がかなり色濃く描かれていて、
最初に主人公たちが調査した「水の惑星」で、
主人公たちは1時間ぐらいの短い時間の調査を
行っただけでしたが、宇宙船に戻ると、既に23年の時が
経過していて、待機していたクルーが歳を取っていた…
という描写はとてもショッキングで印象深い内容でした。
地球で待つ子供たちも既に主人公と同じぐらいの
年齢になってしまっているなどなど、
”時間の流れの違い”の恐ろしさは、かなり強く印象に
残る作品です。
宇宙系の映画でこの部分を大きく描いている作品は
あまりない気がするので、インパクトがありました。
独特な雰囲気の表現が上手
実際の宇宙がどうか、というのはさておき、
ワームホール通過時の異様な雰囲気や、
地球以外の(作中で調査した)3つの惑星、
荒廃した地球の演出、終盤の土星周辺のステーションの演出など、
独特な雰囲気の表現はかなり上手であるように感じます。
ワームホール通過時の異様な雰囲気は
登場人物の不安もよく分かるような描写でしたし、
水の惑星の絶望感や、ステーションの日常風景なのに
地球とは違う雰囲気などなど、
雰囲気・空間づくりは非常にうまくできています。
私は宇宙系の話題も好きなので
そういう意味でも恐怖とワクワクを感じられる作品でした。
特に、水の惑星の絶望感は凄いですね…
(最初は穏やかに見えたものの、そこには水しか存在せず、
しかも、津波が短い間隔で何度も襲来する非常にヤバい星でした)
終盤は難しい展開も
終盤は、SF要素がさらに強くなり、
”理解するのが難しい”と感じる人もいるような、
そんな展開になっていきます。
私はこの映画に限らず、基本、意味を理解するのが
難しめの映画でも、想像で補ってしまうタイプなので
それほど気になりませんでしたが、
終盤は若干、急に駆け足気味になって
バタバタと終わってしまう感じもあり、
また、謎も多く残したまま、終わってしまう感じではあるので、
終わり方としては綺麗な終わり方であるものの、
このあたりは人によっては気になる終わり方に
感じるかもしれません。
登場人物たちも味があって〇
登場人物たちは、映画の時間の長さの割に
少数に抑えられていて、だからこそ、一人一人印象に
残る感じですね。
また、登場人物の人間らしい一面もよく描かれていて、
主人公も完璧な人間ではないですし、
ヒロインも、周囲もそれぞれ何か弱点を持ったりしていて
人間味を感じます。
特に、氷の惑星の調査をしていたマン博士は
”優秀な人物”とされていましたが
実際に主人公たちが氷の惑星にたどり着いた時には
人間の弱さとも言える感情に支配されていて、
主人公らを裏切ったり、
優秀なはずの博士が合理的ではない行動(ステーションとのドッキングが
不完全なのに強引に中に入ろうとして命を落とす)を取るなど、
人の弱さのようなものが描かれていて印象的でした。
地球に残っていた息子のトムも小さい頃は優秀でしたが
だんだんと落ちぶれていく感じが描かれていて
これもまた印象的でしたね。
(トムは最後どうなったのでしょうね?急にフェードアウトしたので…)
作中に登場した惑星
作中では別の銀河に存在する
「水の惑星」「氷の惑星」「砂の惑星」(どれも正式名称は不明)が
登場しています。
水の惑星にはミラー博士が、
氷の惑星にはマン博士が、
砂の惑星にはエドマンズ博士がそれぞれ調査に訪れていて、
このうち、人間が生きることのできる星はエドマンズ博士の砂の惑星でした。
最初に主人公たちがたどり着いた水の惑星は
一見すると水が豊富で生存できそうな感じでしたが、
水しか存在しないうえに数十分間隔で津波が何度も押し寄せる危険な星で
調査していたミラー博士は既に犠牲になっていた上に
主人公たちもなすすべもなく撤退、ドイルもこの時犠牲になっています。
重力も地球より強く、ここは居住不可能な星と言って良いでしょう。
一方、2番目の「氷の惑星」は、
水の惑星のような直接的な脅威はないものの、
人類の生存には適さない、”何もないところ”であり、
滞在することはできても、人間がここで繁殖していくことは
不可能に近い星でした。
マン博士の裏切りもあり、この星でロミリーが犠牲になっています。
(ただ、マン博士の裏切りがなければ、この星で犠牲者は出なかったでしょうし、
ミラーと違い、マン博士は主人公たちが来るまで存命だったため、
そういった意味では水の惑星の方が危険度は高いですね)
最後の「砂の惑星」はラストで少し描かれただけですが
アメリアが呼吸をすることができていた描写や、周辺の雰囲気から
人間も生存可能である可能性が高そうです。
ただ、エドマンズ博士はアメリア到着時には既に命を落としていた模様
(原因は不明ですが、水の惑星で23年を消費し、さらにブラックホールを
突破する際に時間を大幅に消費したため、寿命を迎えた可能性が高そうです)です。
結果的には「エドマンズ博士の星」が人類の希望となる星だったということになりますね。
作中の犠牲者ネタバレ
「インターステラー」の作中で犠牲になってしまった登場人物を
ご紹介します。
作中で判明する順番に記述しています。
〇ミラー
水の惑星の調査をしていた人物。
着陸後に犠牲になったとされ、クーパーら到着時には既に手遅れだった。
〇ドイル
クーパーの仲間の一人。水の惑星でアメリアを逃がし、
宇宙船に乗り込むのが遅れて、波に飲み込まれて犠牲となる。
〇ドナルド・クーパー
クーパーらが宇宙に向かってから、帰還するまでの間に
命を落としたことが、トムの口から語られる。
〇ジョン・ブランド教授
クーパーらが宇宙に向かって20年以上が経過した後に、
老衰(あるいは病気)によって命を落とす。
〇ロミリー
クーパーの仲間の一人。氷の惑星でマン博士の罠により
爆発に巻き込まれて命を落とす。
〇マン博士
クーパーたちから宇宙船を奪い、エンデュランス号に
強引にドッキングしようとするも失敗、爆発に巻き込まれて命を落とす。
〇エドマンズ博士
惑星の調査を行っていた博士の一人。
アメリアが到着した時には既に命を落としていた(原因は作中では明かされず)
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