「不都合な記憶」は、2024年にプライムビデオで公開された映画で、
宇宙の居住区を主な舞台とした
SFサイコサスペンスロマンス映画となっています。
独特な世界観が特徴的な作品ですね。
こちらの映画を実際に見た感想や、考察などをお話していきます。
宇宙に移住して暮らす夫婦を中心に描く作品
物語内の世界では”洪水”によって地球が大被害を受け、
富裕層を中心に、宇宙への移住が進んでいるという状態になっていて、
SF的な世界観が描かれています。
主人公夫婦のナオキとマユミを中心に物語が進んでいき、
当初は穏やかな雰囲気で、物語が進みますが(少し眠くなるぐらいです笑)、
次第に、マユミはナオキのおかしな雰囲気に気付いていきます。
と、いうのもマユミは既に事故で命を落としていて、
作中開始時点から存在していたマユミは、生前のマユミの記憶のバックアップ
(作中の世界ではバックアップを定期的に取る習慣があるようです)を元に
蘇生されたアンドロイドのようなものであることが判明します。
また、ナオキはそのアンドロイドのマユミが
「自分の思い通りにならない言動」をするとすぐに処分し、
次のアンドロイドを作り出す、ということを繰り返していることも
明かされます。
事前に結構ネタバレ気味
↑のあらすじ的な部分は、実際に映画を見ると
判明するまで時間がかかるのですが
公式のあらすじなどで結構大事な部分までネタバレしているので、
実際に見た際に、少し驚きが半減する印象でした。
ただ、事態が判明する前と、判明してからでは
作品の雰囲気も変わって来るので、この辺りの空気感の演出は
良いと思います。
宇宙での暮らしの演出や雰囲気は〇
個人的に、目を引かれたのが
”宇宙ステーションらしき場所での生活”ですね。
映像も綺麗ですし、雰囲気も上手く伝わっていて、
この映画の見どころの一つであるように感じました。
作中では細かく説明されない部分も多いですが
設定も含めて、結構凝っている印象ですね。
私自身、宇宙系の話題は好きなので
そういう部分には目を惹かれました。
終盤は雰囲気が一変
終盤ではこれまでに処分されていたマユミのアンドロイドたちが
生きていることが判明し、ナオキと直接対決することに
なっていきますが、この際のナオキが完全にいかれている感じで、
怖い雰囲気が出ているのはいいですね。
演技力の高さを感じます。
終盤は特に、エレベーターに閉じ込められても
中身で自力で降りて来たりと、
かなりヤバい感じを感じられて、
相手はただの一人の人間(別に特殊能力を持っているような感じでもない)なのに
恐怖を感じるところも、良く演出できていると思います。
謎はかなり多いまま
作中の世界観はかなり特殊ですが、
説明にあまり時間が割かれておらず、かなり謎が多いまま
物語は終了してしまいます。
また、最後のオチの部分は少し弱い印象で、
”何か最後に衝撃の事実でも分かるのかな?”と思いながら見ていますが
特に何もないまま終わったので、少し拍子抜けでした。
”主人公夫妻に決定的な亀裂が入った理由”などがあまり描かれていなかったり、
”マユミが新たに親しくなった相手がどうなったのか”が曖昧だったり、
”地球の状況”もイマイチ謎だったりと、結構謎が多いまま終わります。
作中の気になる部分の考察
個人的に作中で気になった部分を考察していきます。
・ナオキに攻撃が当たらなかったのは何故?
作中ではナオキと悪ふざけしている際や、終盤にナイフで攻撃しようとした際に
ナオキに向かって投げたものが、方向転換して当たらないという描写がありました。
ただ、この説明は最後までないまま、最後には取り押さえられたナオキが
そのままナイフで刺されています。
最初、ナオキも実はアンドロイドなのかと思いましたが、
普通に血が流れていたため、ナオキはオリジナルでしょうから、
これは恐らく、未来の何らかの技術を使っていたのだと個人的には思っています。
(磁力的な何か?)
・地球は本当に壊滅状態?
これは、イマイチ謎で、ナオキによると
地球に帰ることも難しいようなイメージを受ける話しぶりでしたが、
エンディングでマユミは地球に戻っていますし、
物資が宇宙に送られてくるぐらいの状況ではあるために、
意外と住める状況なのかもしれません。
ただ、回想シーンで、マユミの陶器を破壊しに来た男が”どうせ洪水で~”みたいな
発言はしていたので、洪水自体はあったのだと思いますが、
ナオキがマユミを宇宙から逃がさないために”大げさにマユミに伝えていた”のではないかと
個人的には考えています。
・夫婦間に何があったの?
ナオキが、マユミの浮気のような現場を目撃したことなどは
あったとは言え、そこから別れるまでの決定的な描写が飛んでいて、
詳細は不明です。
ナオキの狂暴な一面(マユミに絡んだ男を殴りつけた)などが
積み重なり、マユミが現地の人と親しくなり、
それを目撃したナオキがさらに狂暴な言動を繰り返し、
最後にはマユミに別れを告げられた…という流れでしょうか。
作中の犠牲者ネタバレ
「不都合な記憶」の作中で犠牲になってしまった
登場人物を時系列順にご紹介します。
〇マユミ(オリジナル)
ナオキに別れを告げて家から立ち去ったあと、
追いかけてきたナオキに突き落とされて命を落とす。
〇ナオキ
マユミのアンドロイドたちと対決した際に、ナイフによって負傷
最新のマユミを地球に帰還する船に逃がした(?)あとに、
自らは居住区から飛び降りて、命を絶つ。
〇キュー
ナオキが連れていたロボット。ナオキに破壊された後にも
まだ動作していたものの、共に宇宙に放り出されて
機能を停止した。
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