「FALL/フォール」は2022年(国内は2023年)に公開された
映画で、地上600メートル以上の高さの電波塔の頂上に
2人が取り残されてしまう…という姿を描く作品です。
どことなく、
海底に二人で取り残される「海底47m」、
宇宙に二人で取り残される「ゼロ・グラビティ」と似通った部分を
個人的に感じる作品でした!
(今回は高所版みたいな感じで…)
こちらでは、Fallを実際に見た感想をお話していきます。
電波塔の頂上に取り残される話
夫を失ってから落ち込んでいる状態が続いていた主人公のベッキーを、
親友のハンターが、使われていないTV塔(地上610メートル)への
クライミングに誘う所から物語は始まります。
(元々、主人公と夫もクライマーとしてこのハンターも含めて
岸壁などを登るなどしていました)
その後、ベッキーとハンターが電波塔の頂上にまで
到達しますが、その際にハシゴが壊れてしまい、
2人は地上600メートル越えの”狭い足場”から降りられなくなってしまう…
という話が描かれます。
想像しただけで震えるシチュエーションの映画ですね…
高所恐怖症の人は絶対にやめた方がいい
私は、高所恐怖症…ではないと思いますが、
この映画は、手汗をかいてしまいました…笑
映画で手汗をかくことなど、ほとんどないので
ある意味斬新な体験をすることに…
高いところから落ちそうになったり、
高所から下を見たり、
ハンターがわざわざ危険な行動をしたりと
”高いところの恐怖”が嫌というほど味わえる映画なので
高所恐怖症の人は注意が必要…
と、言うより見ない方がいいと思います(笑)
それぐらい、結構描き方が上手だったと感じる映画です。
ほとんどが塔の上
映画のシーンの大半が”塔の上”で、
他のシーンは少な目です。
ただ、その塔の上で繰り広げられる展開が
なかなか見物で、二人とも色々な作戦を考えますが
ことごとく失敗していく感じの絶望感もすごいです。
想像以上に二人が取り残される足場が”狭い”のも
また恐怖を誘いますね…
自業自得ではある
取り残される系映画の中では自業自得な感じもあって、
わざわざ”立ち入り禁止”になっている区域に入って行って、
装備も微妙な感じのまま、テレビ塔に上り始めるという、
巻き込まれたきっかけとしては、ハンターがベッキーを
励まそうとしたという理由を差し置いても、
あまり同情はできないもの…であるのも確かです。
私は物語として(登らないと始まらないので)気になりませんでしたが
人によっては感情移入しにくいかもしれません。
業者のせいで海に取り残された「海底47m」や、
仕事中に事故で宇宙に取り残された「ゼロ・グラビティ」は
本人たちのせいではありませんが、
(強いて言えば海底47mは直前でやめておけばよかった気もしますが)
本作は自業自得…と言われればそれまでなのも事実です。
終盤の展開は驚き…
途中で頂上の少し下のアンテナに引っかかったリュックを
命懸けでハンターが回収しに行くシーンがあり、
ハンターが途中で転落しかけますが、
何とか無事に登って来れて…という描写があります。
ただ、終盤で明らかになる事実として
この時、本当はハンターは落下していて、
そのシーン以降のハンターは
一人になってしまったことを受け入れられないベッキーが見ていた
幻であることが判明します。
これはちょっとびっくりしましたね…
(なんかハンターの反応が薄くなったな…とは途中から思いましたが)
海底47mやゼロ・グラビティ(二人でヤバい場所に取り残される系映画)でも
幻覚の描写もあり、正直、今回の映画を見ている途中でも
”幻覚のシーンが出て来そう”とは思っていたのですが
こういう出て来方をするとは思わなかったので意表を突かれました(笑)
最初、ドローンを出発させる直前、1回画面が暗転したので
そこから幻覚が始まったのかと邪推していましたが
特にそれは関係ありませんでした(笑)
よくよく見返して見ると、確かにリュックを取りに行ったハンターが
転落した際に”落下した音”と思われるような音が響いていますね。
(リュックにしがみつけた音ではなく、何かに叩きつけられたような音がしています)
作中の気になる部分の考察
作中の個人的に気になった部分の考察を少しだけしてみます。
〇ハンターはいつから幻?
これは、リュックを取りに行ってハシゴに手をつこうとした際に
転落したシーン以降からですね。
本当のハンターはその際にアンテナに叩きつけられて犠牲になっています。
(上にも書きましたがそのシーンで、落下した音のようなものも聞こえています)
確かに、その後のシーンのハンターは
”違和感を感じるほどに”自分では何もしようとしなかったり、
ドローンが失敗した時など、”妙に反応が薄い”シーンなど、
不自然なところもたくさんありました。
〇ベッキーは無事だったの?
最後は急に救出完了のシーンになっていましたが、
これは幻ではなさそうなので
ベッキーは無事だったと思われます。
アンテナが落下しそうになったものの、
ヘリの到着まで耐えることができた、ということなのだと思われます。
作中の犠牲者ネタバレ
「フォール」の作中で犠牲になった人物を
時系列順にご紹介します。
〇ダン
主人公・ベッキーの夫。
冒頭の岸壁を登っている際に事故により転落、犠牲となる。
〇ハンター
ベッキーの親友。中盤に塔のアンテナに引っかかった
リュックを回収しに行った際の引き返す時に足を滑らせて
アンテナに落下、そのまま犠牲となる。
(ただし、ベッキーがしばらくハンターの幻覚を見ていたため
この場面で犠牲になったことが明かされるのは終盤)
他の取り残される系映画と共通点も…
海底に二人が取り残される映画「海底47m」と、
(※レビューはこちら⇒海底47mのレビュー)
宇宙に二人が取り残される映画「ゼロ・グラビティ」の2つと
(※レビューはこちら⇒ゼロ・グラビティのレビュー)
本作は”場所”が違えど結構共通点がある気がしました!
高所恐怖症じゃなく、↑の2つのどちらかが好きな人には
おすすめできると思います。
共通点は
・二人組がヤバい場所に取り残される
・一人は冷静で一人はパニック気味
・一人が犠牲になる(全部冷静な方が犠牲に)
・幻覚の描写が途中で入る
などなど、結構似通った部分があります。
まだ、この手のタイプの映画もあるかもしれませんね。
(今後も色々見ていくので、見つかるかもしれません)
⇒映画レビュー一覧へ戻る
本作以外の映画のレビューは↑からご覧ください。