「第9地区」は国内では2010年に公開された映画で、
エイリアンが飛来した世界を舞台に、
物語が進んでいきます。
ただ、特徴的なのはこの映画の世界でやってきたエイリアンは
何らかの理由により壊滅状態にあり、
人類によって隔離区域で保護(保護とは名ばかりの雑な扱いを受けている)
されているという、特殊なシチュエーションが描かれています。
物語では、そんな世界を舞台にエイリアンたちを別の区域に
移住させるための責任者に主人公が選ばれ、
物語が進んでいきます。
序盤の軽い雰囲気から一転して…
序盤は、主人公がエイリアンたちに移住の承諾
(承諾と言っても強制的な感じ)を貰いに行って、
主人公もその周囲も遊び半分のような感じの
軽い感じで物語が進んでいきます。
ただ、この仕事の途中で主人公がエイリアンが
作っていた謎の液体を浴びてしまったことから
物語の様子が一変、主人公の体調が急激に悪くなっていき、
身体の一部がエイリアン化してしまったことで
実験対象として自分が所属していた会社からも
追われることになるなど、
シリアスな展開になっていきます。
前半と中盤以降の物語の変化は、
なかなか見どころの一つに感じました。
直接的にエイリアンと戦うわけではない作品
エイリアンがいながら、
直接的にエイリアンと戦うわけではなく、
むしろ主人公にとっては自分を実験台にしようとする
人間の方が敵になるという、
少し面白いタイプの作品です。
勿論主人公は人間を積極的に傷つけるわけではなく、
自分の命を狙ってくる者たちをやむを得ず…と言う感じに
戦っていく形ですが、
エイリアンがいるのに、エイリアンと戦うわけではなく、
かといって、エイリアンと友好関係を作る部分がメインでもない、
という作品はなかなか異色な感じがしました。
色々な映画を見ていても、なかなか珍しいシチュエーションで
引き込まれる感じの作品です。
グロテスクな部分が苦手な人は注意
作中に登場するエイリアン自体も人によっては
なかなかグロテスクに感じるかもしれませんが、
それ以上に、中盤以降、
主人公がエイリアン化していく際に
嘔吐したり、爪がはがれたりと、
人によっては見るのがきつい感じの描写も
それなりにあります。
手がエイリアン化したり、終盤では片目も
エイリアン化したりするので
こういうところがちょっと苦手に感じる人は
避けた方が良いかもしれません。
極度にグロテスクなわけではありませんが
多少、そういった要素があるので注意しましょう。
色々と「謎」の残る作品
本作は、世界設定が壮大である一方で、
謎のまま終わっているところも多く、
エイリアンたちの正体や、地球にやってきた理由などは
最初から最後まで特に語られませんし、
主人公は、最後はエイリアン化したままで、
「3年後に帰って来て治す」と約束してくれた
エイリアンのクリストファーの帰りを待つところで
物語は終わりで、元に戻れたのかどうかも不明です。
物語自体はひと段落はしていますが、
”謎”も多く残るので、全てがハッキリしないと
スッキリできない!という人は多少気になるかもしれません。
作中の気になる点を考察
「第9地区」の作中で個人的に気になる部分を考察していきます。
・主人公はどうなるの?
エイリアンのクリストファーは「3年で治療の手段を用意して戻る」と
約束しています。作中のクリストファーの描写から彼自身は
本気で約束を守ってくれそうな気はしますが、
エイリアンたちのトップではないでしょうし、何かに阻まれそうな気も。
仮に治療が出来たとしても、ヴィカスは多数の人間の命を奪って
(狙われていたので仕方ないとはいえ)しまっているので
日常生活に復帰するのもかなり難しい感じはします。
・エイリアンたちの目的は?
作中では不明のままですが「何らかの事故」でたまたま地球に
来てしまった感じで、地球を侵略するのが目的ではないように思えます。
クリストファーが帰還後、どこにいるであろうエイリアンたちの親玉的存在が
どう判断を下すかによって、地球の運命は変わりそうです。
(持っている技術的に、このエイリアンたちが本気で地球を侵略しようとしたら
打ち勝つのは少し難しそうに思えます)
作中の犠牲者ネタバレ
「第9地区」の作中で犠牲になってしまった
キャラクターたちをご紹介していきます。
作中の時系列順に並んでいます。
〇オビサンジョ
ギャング集団のリーダー。
終盤でヴィカスを捕らえた際に、突如起動した
エイリアンのロボットの攻撃を受けて絶命する。
なお、手下の大半はオビサンジョが倒される前に
傭兵部隊の攻撃と、エイリアンのロボットの攻撃により
大半が命を落としています。
〇クーバス
終盤でヴィカスを追いつめた際にその命を奪おうとするも、
エイリアンたちに取り囲まれて、攻撃を受け絶命した。
クーバスの配下(一部は名前も呼ばれている)も、
それぞれ直前にヴィカスの操縦するロボットによって
倒されています。(一部は生存している可能性もあり)
続編は存在しているの?
「第9地区」の続編は存在しているのかどうか。
確かに、作中の描写を見ると
続きもありそうですし、描けそうな感じですが
2024年現在では「第9地区」の続編は
残念ながら存在していません。
一応、2021年には続編の脚本執筆を行っていると
SNS上で公表されていますが、
これがどうなったのかは今の時点では不明です。
もしも出るとすれば「第10地区」みたいなタイトルで
日本でも公開されることになりそうですね。
(続編が登場するなら、私も見てみたいところです)
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