映画「アニアーラ」のレビュー&ネタバレ!緩やかな滅びが描かれる作品!

SF映画

映画「アニアーラ」は、
2019年に公開されたSF映画で、
火星へと移動中の宇宙船「アニアーラ」が事故により
宇宙を漂流することになってしまい、
その中の人々の様子を描く作品です。

こちらを実際に見た感想をお話します。

スポンサーリンク

テーマは面白い。ただし人を選ぶ作品

地球から火星(地球は汚染が進んでおり、移住が進んでいる最中のようです)へ
移動する宇宙船「アニアーラ」が舞台の作品で、
アニアーラには8000人の乗客が搭乗している状態で物語が始まります。

アニアーラの中ではまるで豪華客船のような雰囲気を持つ
色々な設備が揃った宇宙船になっていて、
最初でこそ、観光気分で物語は始まっていきますが、
やがて事故が発生してしまい、燃料を失った上に軌道を外れてしまったことで、
地球には帰れず、火星にも到達できない状況になってしまいます。

電力や食糧問題は船内で自給自足ができるために
命の危険はただちにはない状態ですが
”永遠に宇宙を彷徨うことになる”という絶望的な
状況に陥ってしまいます。

このテーマは非常に面白いところですが、
途中の描写だったり、最後の結末だったり、
人を選ぶ部分は多い作品に感じました。

「緩やかに滅んでいく」作品

前述の通り、アニアーラ号には食料(「藻」ですが…)を
自給自足できる力はあり、酸素や電力に関しても
問題はない状態で物語が進んでいきます。

ただ「帰れない」だけで、生きていくことはできる状態、
ということですね。

なので、すぐに危機的状況には陥りませんが
”どうすることもできないまま”
ゆっくりと全滅に向かう様子が描かれます。

”時間は十分にある”ものの、”解決策もない”という
他のSF映画とは異なる絶望を描いている作品ですね。
(大抵、SF映画は短期間の危機を描くものが多いので、
そういう意味では珍しい作品です)

実際、作中では漂流開始から1年、3年、5年…と
どんどん時が流れていく様子が描かれ、
だんだんと登場人物もおかしくなっていき、
宇宙船内も滅茶苦茶になっていく様子が描かれて行きます。

スポンサーリンク

大きな変化はなく、ジワジワと進む

アニアーラの人を選びそうな点のひとつは
「起承転結」の「起承」しかないことですね。

後半にかけて”何か大きく変わる出来事があるのか”と
言われると「何も起こらない」というのが答えで、
確かに、船の中では色々な出来事は起こりますが、
”問題を根本的に解決するような出来事”は
最後まで起こりません。

そのまま”全滅”してしまう形で、
そういった意味ではある意味リアルな
”どうすることもできない絶望”を最後まで
描き切っている内容と言えますね。

てっきり私も、途中で地球に帰れたり、
未知なる星に到着でもして、助かるのかと思っていました(笑)

人によって不快な描写も

中盤にかけて、妙に生々しい不快な描写も
結構出て来るので、
この点はかなり好みが分かれると思います。

私も、中盤の描写は「なんだこれ」という感じで、
”ずっとこんな感じなら、ちょっと…”と思っていましたが、
最後の方はそういうものはなくなったので
最後まで見ることは出来ました。

”家族で見ない方がいい”感じではありますね。
人によってはかなり不快感を感じるかと思います。
(宇宙船で孤立した人々のリアルを描くためには
仕方ないのかもしれませんが)

最後の結末は印象深い

色々な映画を見ていますが
全体的には映画は「ハッピーエンド」の割合が多く感じますし、
ハッピーエンドじゃなくても、
何らかの一応の解決は見せることが多いですが、
本作は”そのまま滅亡するだけ”です(笑)

これは、なかなか印象的で、
漂流から10年後の時点から、既に人員もかなり減って
主人公も生きる気力を失っているような感じになっていて、
その後の”24年後”(だったと思います)の時点では
宇宙船の電力も停止(恐らく人が減ったことでシステムを維持できなくなった)、
生き残った人もごく少数で、
長い間宇宙船内で暮らしていたせいか、既に目も見えていない様子という
悲惨な状況が描かれます。

そして、ラストのシーンでは500万年以上が経過、
既に生存者は0の状況で、地球によく似た惑星を宇宙船が通過
(永遠に漂い続けて、遠くにたどり着いたようです)するシーンで
物語は幕を閉じます。

結局「誰も助からなかった」という、
何の救いもない結末を迎えています。

ちょっとした考察

作中で気になった部分を考察していきます。

・船長の目的は?
前半では「宇宙を作った」みたいなことを言っていましたが
単に事故を起こしただけで、特に目的はなかったようです。
よく乗客が反発して大規模な争いにならなかったな…と、
それだけは少し不思議です(笑)

・途中で到着した槍のような物体は?
最初は地球からの救助船や物資輸送船と期待されていましたが
どうやら”地球とは関係のない漂流物”だったようです。
特にアニアーラ号を救おうとしたものではないようでした。
別の文明が宇宙に廃棄したゴミのようなもの、と考えるのが妥当でしょうか。

・地球はどうなったの?
汚染が進んでいた、ということだけで作中開始時点では”まだ”
崩壊までには至っていなかったものと思われます。
また、火星にも既にそれなりに人類が移住して
文明を作り上げていたものと思われます。

スポンサーリンク

作中の犠牲者ネタバレ

「アニアーラ」の作中で犠牲になってしまった
登場人物をご紹介していきます。
(作中の時系列順、名前などが判明orある程度のメインキャラを記載しています)

〇ロベルタ・トゥウェランダー
天体観測士。
シェフォーネ船長と口論した末に撃たれて命を落とす。

〇デイジー
宇宙空間の衝撃波を通過中に壁に激突して命を落とす。

〇側近の男
シェフォーネ船長の部下。
衝撃波通過の際に犠牲になった模様。

〇イサゲル
先の見えない宇宙生活に絶望して
子供と共に自ら命を絶ってしまう。

〇シェフォーネ船長
〇ミーマローベ
船長が犠牲になったタイミングは不明。
ミーマローベは、24年後の時点ではまだ生存していたものの、
その後、寿命を迎えたと思われる。
(二人は直接的に命を落とした描写は無し)

映画レビュー一覧へ戻る
「アニアーラ」以外の映画のレビューは↑からご覧ください。

タイトルとURLをコピーしました